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2011 年度 実績報告書

ロシア・ウクライナ・ベラルーシにおける歴史小説の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 21720107
研究機関北海道大学

研究代表者

越野 剛  北海道大学, スラブ研究センター, 助教 (90513242)

キーワードロシア / ベラルーシ / 歴史小説 / ナポレオン戦争 / チェルノブイリ事故 / サハリン / 記憶 / 地方文学
研究概要

8月に北京で開催された国際会議で、ロシアの歴史小説について博士論文を書いたミラノ大学のレベッキーニ氏を招聘し、千葉大学の鳥山祐介氏の協力も得て、ナポレオン戦争とロシア文学に関する共同のパネル発表を行った。北の大国というロシアのイメージの成立がナポレオン戦争の勝利と結びついている点を文学作品やカリカチュアを題材にして分析した。また敵を雪の中に迷い込ます17世紀の民衆英雄スサーニンの伝説が、冬将軍に敗れたフランス軍の姿と重ねられたことで、1812年の戦争をきっかけに広く知られるようになる過程を、一本の論文にまとめた。3月にはベラルーシについて二つの研究報告を行った。19世紀のポーランドとロシアの文化的な境界地域でベラルーシ的なアイデンティティを志向する作家が現れる経緯を明らかにした。またチェルノブイリ事故がベラルーシの文化にもたらした影響を、ユートピアとカタストロフィという観点から考察した。2番目の報告は、福島原発事故と日本や東北の文化の今後を考える際にも参考となるものであり、次年度以降の新たな研究テーマに発展させていきたい。
ロシアの極東サハリンの地方文学を題材にして、流刑地やチェーホフ滞在の歴史的記憶が地域のアイデンティティ形成にどのように作用しているかを調べ、論文として発表した。ロシア語使用圏の東の境界を極東地域とするなら、ベラルーシ・ウクライナは西の境界領域と考えることができる。その関連で3月のモスクワ・ペテルブルグ出張では、ロシアの東洋学の歴史を調査して、資料の収集に努めた。今後は現在の研究テーマを東西の境界地域の比較研究につなげていくことをねらい、次年度以降の科学研究費萌芽研究に申請した(採択済)。また、口頭発表のみで論文の形になっていない研究もあるため、その出版も次年度以降の課題としたい。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 二十世紀ロシア文学におけるサハリン島-チェーホフと流刑制度の記憶2011

    • 著者名/発表者名
      越野剛
    • 雑誌名

      日露戦争とサハリン島(北海道大学出版会)

      ページ: 129-155

    • 査読あり
  • [学会発表] チェルノブイリ原発事故とベラルーシの文学-放射能汚染地の描写を中心に2012

    • 著者名/発表者名
      越野剛
    • 学会等名
      日本比較文学会北海道支部・東北支部合同研究会
    • 発表場所
      北海学園大学(北海道札幌市)(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-17
  • [学会発表] ポーランド文学における「ベラルーシ派」-ヤン・バルシュチェフスキを中心に2012

    • 著者名/発表者名
      越野剛
    • 学会等名
      西スラヴ学研究会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道札幌市)
    • 年月日
      2012-03-15
  • [学会発表] ナポレオン戦争におけるマロース(冬の寒さ)の表象2011

    • 著者名/発表者名
      越野剛
    • 学会等名
      日本ロシア文学会
    • 発表場所
      慶應義塾大学(東京都港区)
    • 年月日
      2011-10-08
  • [学会発表] Images of China in Russian Literature2011

    • 著者名/発表者名
      越野剛
    • 学会等名
      International Conference "Comparative Aspects on Culture and Religion : India, Russia, China"
    • 発表場所
      バンガロール文化社会研究センター(インド)
    • 年月日
      2011-09-15
  • [学会発表] Образ Китая в современной русской литературе(現代ロシア文学における中国のイメージ、ロシア語)2011

    • 著者名/発表者名
      越野剛
    • 学会等名
      中国ロシア文学会シンポジウム「ロシア文学-伝統と現代性」
    • 発表場所
      北京外国語大学(中国)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-11
  • [学会発表] Представления о《Холодной》войне в литературе и карикатуре(ナポレオン戦争における寒さの表象、ロシア語)2011

    • 著者名/発表者名
      越野剛
    • 学会等名
      East-Asian Conference for Slavic Eurasian Studies
    • 発表場所
      北京ランドマークホテル(中国)
    • 年月日
      2011-08-28
  • [図書] 『ナイトメア叢書(8)天空のミステリー』(「ツングース事件の謎-消えた落下物をめぐる物語」の章を担当)(一柳廣孝・吉田司雄編著)2012

    • 著者名/発表者名
      一柳廣孝
    • 総ページ数
      91-98
    • 出版者
      青弓社
  • [図書] 『ロシアの方舟』(「手描きの恋愛小説とアルバムの伝統-学校の少女文化」「戦争の記憶とナロードの英雄-イワン・スサーニンの物語」の章を担当)(野中進他編著)2011

    • 著者名/発表者名
      野中進
    • 総ページ数
      149-156、240-248
    • 出版者
      東洋書店

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公開日: 2013-06-26  

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