研究課題
第一に、ソ連の絵本作家として出発したイリヤ・カバコフのテクストと視覚芸術の相関関係についての研究を継続し、その成果の一部を共著論文としてロシアの論集に発表した。こうしたロシア児童文化・現代美術に関する基礎研究は、展覧会の開催や講演会等、様々な形で将来的に社会に還元することが可能である。第二に、現代ロシア文化(文学、美術、映画の相関関係)に関する単著の刊行に向けて、資科を収集・分析し、主に二章と三章を執筆した.隣国である現代ロシアの文化を日本で紹介した書籍は少ないことから、ロシアの文化状況を分析・詳解した書籍が刊行されることには、意義があると思われる。第二に20世紀ロシア文学における文体、手法に関する研究の成果をふまえて、ウラジーミル・ナボコフ『賜物』の邦訳についての書評(ロシア語)等を執筆した。日本でのロシア文学の受容と研究の状況をこうした形で海外に発信することは、今後の学術交流の観点から意義がある。第四に、20世紀初頭のロシア象徴主義作家アンドレイ・ベールイの小説『ペテルブルク』についての従来の研究を発展させ、ロシア語訳し、ベールイ学会記念論集(モスクワ)の編集部に受理された。第五に、20世紀ロシア文学・美術の研究をふまえて翻訳を担当した展覧会カタログ『ロトチェンコ+ステパーノワー-ロシア構成主義のまなざし-』(朝日新聞社、2010年)が出版され、同展覧会が開催された(同展は、東京都庭園美術館、滋賀県立近代美術館、宇都宮美術館を巡回した)。
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Shkola teoreticheskoj poetiki : sbornik nauchnykhtrudov k 70-letiyu Natana Davidovicha Tanarchenko.(理論詩学派-ナタン・ダヴィードヴィチ・タマルチェンコ教授70歳記念論集)
巻: 1 ページ: 341-346