本研究は、小説家であり仏文学の研究者でもあった福永武彦(1918-79)と、その萌芽期の文学仲間の活動を題材として、1930~40年代東大の若者を中心とする西洋文化受容の知的ネットワークの調査を試みたものである。3カ年にわたって、長崎、長野、広島における長期の踏査を行い、資料収集や聞き取りを行った。また、調査で収集した情報や資料の集積と分析を進めた。さらにその成果は、国内外の学会・講演会などにおける報告や、学会誌や一般誌における論文に公表した。こうした活動を通して、福永武彦の基礎研究を進捗させたことに加え、近代日本における学問史や文化史の解明にも一つの視点を提供することができた。
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