本研究は、従来より実施してきた研究手法を継続的に発展させるとともに、将来、当該研究分野にも確実に到来するであろうコンピュータを用いた分析手法の基礎を確立することを目的とする。 平成21年度は、これまでの研究活動を踏まえ、イランの口承文芸資料に関するデータベースの構造化、調査などについて、下記に示した方法を中心に研究を行った。なお、データ入力や単純な作業については、ペルシア語の知識を有する研究補助者を活用した。調査の際には相手方の同意を得た上で録音および撮影を行った。 1. イランにおける調査 : テヘラン州で口承文芸の採録調査を行った。この結果、新規に口承文芸の音声資料および話者の顔写真等の画像資料を収集した。収集済みのペルシア語資料について確認が必要となっため、新規調査と並行して、既存の資料に関する不明箇所の確認を行った。この調査に関連して、イランの民間信仰における積極的呪術についてまとめ、論文として発表した。 2. データベースの構造化 : これまでの研究で形態素レベルに整形したXML形式の資料について、GDA方式を応用する形で、依存関係、代名詞の照応先等の統語情報を付加してきたが、今年度については特に、分析の段階での精度をより確実なものにするため、XMLデータと意味属性情報との形態素レベルでのリンク精度を高めるための作業を行った。 3. 民俗学的分析 : 今年度に作業し精度を高めたファイルを検索システムに組み込み、変更した部分を含めて試行的に機能することを確認した。
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