研究課題/領域番号 |
21720120
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹原 新 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (20324874)
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キーワード | 外国語(中・英・仏・独除く) / 外国文学(中・英・仏・独除く) / 文学論 / 民俗学 / イラン |
研究概要 |
平成23年度は、昨年度までの作業を踏襲する形で、イランの口承文芸資料に関するデータベースの構造化、調査などについて、下記に示した方法により研究を行った。なお、下記の2の作業に関しては、ペルシア語の知識を有する研究補助者を活用して、データ入力などの作業を行った。イランで録音および撮影を伴う調査では、相手方の同意を得た上で行った。 1.イランにおける調査:昨年度に引き続き、イラン・イスラム共和国テヘラン州内において、話者と対面して録音する方式で口承文芸に関する現地調査(フィールドワーク)を行い、音声資料および画像資料を収集した。この結果、新規に民話、民間信仰等に関する口承文芸の音声資料および話者の顔写真等の画像資料を収集した。同時に、以前のイランでの調査の資料における不明箇所の確認を行った。 2.データベースの構造化:昨年度までに行った作業を継続して行った。具体的には、形態素レベルに整形したXML形式の民話資料について、GDA方式を応用する形で、データを付加・拡充し、XMLデータと意味属性情報との形態素レベルでのリンク精度を高める作業を中心として行った。これにより、精度が高められたXMLファイルの数がさらに増えた。 3.民俗学的分析:分析システムを用いた研究ノート(タイトル「イラン民話における呪物についての抽象的表現」)を発表した。当該研究ノートはできるだけ客観的な方法でデータを提示することにより、民話の様式論に基づいて主に呪物となりえるものを指す名詞を修飾する形容詞の意味属性について論じたものである。ただし、上記の2の作業において新たに精度が高められたデータはまだ十分な分量がそろっていないため、前段階の分析システムを用いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中心的な活動であるイランにおける調査、データベースの構造化、および、民俗学的分析のいずれも着実に進捗しているため、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(平成24年度)においても従来の研究方法を踏襲することで着実な研究の進捗を目指す。なお、イランにおける資料収集活動(フィールドワーク)については、渡航を予定する時期において調査予定の地域で安全が確保できないと判断する場合、渡航が費用に見合わないと判断される場合、その他、国内外の事情により海外渡航が適当でないと判断される場合などは調査を中止する。この場合はデータベースの構造化、および、民俗学的分析に係る作業に専念する。
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