平成24年度は、本研究計画における最終年度であることを踏まえた上で昨年度までの作業を踏襲する形で、イランの口承文芸資料に関するデータベースの構造化、調査などについて、下記に示した方法により研究を行った。なお、下記の2の作業に関しては、ペルシア語の知識を有する研究補助者を活用して、データ整理などの作業を行った。イランで録音および撮影を伴う調査では、相手方の同意を得た上で行った。 1.イランにおける調査:イラン・イスラム共和国テヘラン州内において、話者と対面して音声を録音し、話者の写真を撮影する方式で口承文芸に関する現地調査(フィールドワーク)を行った。この結果、新規に民話、民間信仰等に関する口承文芸資料を収集した。同時に、以前のイランでの調査の資料における不明箇所の確認を行った。 2.データベースの構造化:昨年度までに行った作業を継続する形で、主にXML形式で形態素レベルに整形された民話資料の一部について、GDA方式をベースにしたデータと意味属性情報との形態素レベルでのリンク精度を高める作業を行った。 3.民俗学的分析:上記の2の作業において精度を高められたデータをデータベースに組み込み、分析するための検索システムの拡充を行った。 また、上記1に関連する研究として、論文「現代イランの消極的呪術」、および、篠田知和基編の図書『異界と常世』における「イランの口承文芸における異界の者たちとその社会」を発表した。
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