本課題研究は、日本に現存する旧鈔本を中心に、東アジアにおける白居易研究の変遷史及び『白氏文集』受容史を体系的に跡付けつつ、日中間において異なる白居易学が形成された最も根源的な原因を明らかにし、さらに東アジア漢籍交流史という観点から、日中独自文化の形成における経緯を整理し、その背景にある両国知識人の文学観・歴史観・価値観の異同を見極めようとするものである。なお、本研究により取得した成果は、日本の学術誌のみならず、中国の主要な学術誌にも多く掲載、或いは転載されている。こうした成果を収録した報告書『東アジアにおける白居易受容の諸相と日中独自文化の形成に関する研究』を刊行し、国内外の関係機関・研究者に配布することで、広く共有すべき東アジア書籍交流史の参考文献を活用しやすい形で提供した。
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