本研究は、北宋中期における欧陽脩・梅堯臣・蘇舜欽らの文人ネットワークの実態を分析し、彼らの創作活動が<宋詩>的スタイルの形成に重要な役割を果たしたことを明らかにした。具体的には、以下の二点について考察した。(1)蘇舜元・蘇舜欽兄弟による一連の聯句作品は、聯句から次韻(依韻)へと酬唱様式が変化してゆく過程において、中唐の韓孟聯句の奇怪な風格を継承しようとする最後の意欲的な試みであった。(2)夷陵時期の欧陽脩の作品には、左遷された境遇のなかで悲哀に耽溺するのではなく、むしろ当地の風土習俗に関心を向け、韓愈の文学に同化しようとする傾向が見える。その点は、彼が中央政界に復帰した後の作品、「山を憶いて聖兪に示す」詩において明確に表現されている。
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