20世紀初頭の中国映画界は、他の東アジア諸国と同様に、外国映画、とりわけアメリカ映画界の影響を強く受けてきた。近年、実証的手法による中国映画史研究の領域においても、中国と外国との映画関係史にかんする研究は注目を集めてきた。しかしながら、この研究領域には、学際的視座の導入、産業史的空白の補充、そして新資料の開拓といった様々な課題が残されている。本研究ではこれらの課題を克服し、中国映画史再考のための新たな研究アプローチを構築すべく、基礎的研究を行った。その結果、「外国映画による中国映画市場の壟断」という、従前の研究が採用してきた研究上の前提をさまざまな角度から再考する必要性を提示した。
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