研究課題
本研究の初年度にあたり、本年度は様々な関連分野の実験協力者のネットワークを構築し、今後3年間の研究計画を立て、研究協力体制を作ることに尽力してきた。そのため、音響工学、日本語教育、国語教育、言語聴覚療法学など各分野の専門家との研究打ち合わせを行なった。先ずは、音声の個人性について先行研究のまとめを行ない、日本語以外の言語についても情報を集め、この結果、音声の動的個人性として考えられる特徴を抽出した結果を提案として、学会発表[4]および論文[1]にまとめた。また音声の個人性と印象評価の面からも考察した(発表[4]、論文[1])。動的個人性の中から、特に発話中にみられる母音の無声化について、その出現を日本語話者(東京方言話者・近畿方言話者)、日本語学習者(台湾人学習者初級・上級)について比較し、学習の可能性および状況依存性についても議論を行った(発表[2]、論文[2][3])。個人の発声・発話が空間や聞き手の位置、人数とどのように関係しているのかという声の遠近感覚についても検討し、大学生のクラスルーム内の会話においては、声の強さ、高さ、長さなど主な音響的特徴をほとんど変化させないが、アクセントやイントネーションや母音の無声化といった動的特徴を変化させることが示された(論文[2])。さらに、声の話者同定実験を行ない、新密度、および音響的特徴との関係について考察を行なった(未発表)。その結果、普段の親密度や声のいわゆる静的な個人性にあたる音響的特徴とはあまり関連が見られなかったが、これらの点については今後再検討を行なう予定である。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
日本音声学会全国大会予稿集
ページ: 33-38
日本音響学会聴覚研究会資料(電子情報通信学会技術研究報告) Vol.40, No.3, H-2010-29
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甲南女子大学研究紀要人間科学編 46
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