研究課題
本研究では、シュメール語動詞接頭辞の調査を資料の時代・ジャンルに分けて行った。シュメール語の動詞接辞は、種類が多く、その形式、意味機能はいまだ不明確なものが多い。これは、資料時期がながく地域も広範にわたりその数が膨大であることによる。本研究では、前三千年紀後半の資料(シュメール初期王朝期~ウル第三王朝期)と、死語化した直後の時期にあたる前二千年紀初頭(古バビロニア時代)の資料を区別し、調査の対象とした。未公刊資料の調査については、研究期間の始めにイランでの資料の調査が許可されたことにより、当初計画より、新資料の調査に重点をおく計画に変更した。資料調査については、イランの政治情勢から、調査開始年度が遅れたが、現在までにデータの整理および接辞のリスト作製をおおよそ完了することができた。成果発表を予定していた学会発表が震災の影響で開催が見送られたため、現在、新たな調査データをさらに加え、発表準備を進めている。シュメール語動詞接頭辞を時期別に分析することによって、動詞語基がとりうる動詞接頭辞、その組み合わせの相関関係があきらかになってきた。また、前三千年紀については、資料が作成された都市ごとに動詞接辞の使用にも差異がみられる。これは、今後のシュメール語の動詞組織研究に重要な意義をもつものである。
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環境変化とインダス文明(2010-11年度成果報告書)
ページ: 145-150
The Cultural Relations between the Indus and Iranian Civilizations during the third Millennium BCE. Harvard Oriental Series(Witzel, M.(eds.))
巻: Opera Minora 7 ページ: 245-269