研究概要 |
『現代日本語書き言葉均衡コーパス』に収録する2001年から2005年刊行の雑誌データ(以下,BCCWJ(雑誌))を基に,漢字頻度表を作成した。その頻度表と雑誌70誌調査(調査委対象は1994年刊行の雑誌70誌)の漢字頻度表とを比較し,1994年から2005年までの間に漢字使用にどのような変化が起こったのかについて分析を行った。概要は以下のとおり。 (1)BCCWJ(雑誌)に出現した漢字は,異なり3,536字,延べ761,978字。このうち,常用漢字(1981年)が占める割合は,異なりで54.67%,延べで97.66%。 (2)雑誌70誌調査では,常用漢字(1981年)が占める割合は,異なりで53,66%,延べで97.32%。雑誌70誌調査とBCCWJ(雑誌)とを比較すると,異なりで約1%の増加が見られるのみであり,全体としては大きな変化がない。 (3)雑誌70誌調査で出現した漢字を高頻度層(1-1500位),中頻度層(1501-3000位),低頻度層(3001位以下)の三つに分け,BCCWJ(雑誌)でどの層に属しているかを調査した。2,688字(75%)について変動がなかった。中頻度層から高頻度層に上がったのは78字,低頻度層から中有頻度層に上がったのは138字であった。一方,高頻度層から中頻度層に下がったのは78字,中頻度層から低頻度層に下がったのは133字であった。BCCWJ(雑誌)に出現しなかったものも469字あった。 (4)2010年の改定で常用漢字表に追加された196字のうち,185字が雑誌70誌調査に出現しているが,134字は中頻度層に出現しており,BCCWJ(雑誌)でもほとんど変化がない。
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