研究概要 |
本研究では,公共情報媒体としての広報紙(地方自治体が多数の人の目に触れることを前提として発行するもの)における副用語(特に副詞・連体詞・接続詞)について,〈出現傾向〉及び〈表記の実態〉とを明らかにするものである。 (1) 問題の所在の整理を学会発表:研究開始に当たって,問題の所在を整理するために,既存のコーパスを利用した予備調査を行い,「日本言語政策学会」(平成21年6月14日・昭和女子大学)で学会発表を行った。一般書籍での表記の現状と傾向を調査したことで,広報紙の表記を検討するうえで有効な知見が得られた。一般書籍の表記について,公用文の表記の基準と照合した結果,(a)仮名書きを標準としたものは,一般書籍でも仮名書きの場合が多いこと,(b)漢字表記を標準としたものは,一般書籍で仮名書きのものと漢字書きのものとの揺れが多いことの2点が判明した。 (2) 編集者の意識調査:広報紙を編集する側(情報発信者側)の表記についての意識を調査した。111市区町村の広報紙編集担当部署を対象として,広報紙編集の際の表記上の留意点など9項目について,意識調査調査(質問紙郵送型及び面接型)を行った。その結果,89市区町村から有効回答を得た(回収率80.2%)。現在はこのデータを分析中である。 (3) 実態データの収集と整備:中核となる研究対象(素材)として,約100市区町村の広報紙を収集し,外注によって,タグ付きのテキストデータを整備した。今後は,このデータについて分析を進めていく。
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