本研究課題の研究目的は、一般的に「機能語」と呼ばれる語のうち、きわめて「多義」的に見える前置詞の意味を、各前置詞の意味の「棲み分け」をもとに、また、慣用表現を手がかりに、明らかにし、日英語の相同性(英語は<有界的・結果志向・スル的>であり、日本語は<無界的・経過志向・ナル的>である)を求める手がかりとすることである。 本研究の意義・重要性は次の4点である。<1点目>前置詞をそれらの「棲み分け」を元に研究するという点。これまでの前置詞研究は、1つの語の多義を記述するものがほとんどであったが、本研究は、研究代表者の一連の研究により、多義の説明には、関連する語との関係を語ることが不可欠であるということが明らかになったことを元に、近い意味をもつ前置詞との関係において前置詞を研究している。<2点目>慣用句こそがその「棲み分け」を表すという、これまでの研究代表者の一連の研究をもとに、慣用句を鍵として研究している点。<3点目>前置詞研究を相同性研究に応用しようとしている点。日英語の様々な現象が、それぞれの言語ごとに一つの傾向にそっているとする日英語の相同性を求める研究は、従来は、文レベル(受動態など)やそれ以上のレベル(ナラティブの構造など)のものであることが多いのに対して、本研究は、従来より「機能語」の筆頭ともされる前置詞や格助詞にも同じ傾向が見られることを明らかにしようとしている。<4点目>その研究結果を、大学生の自学自習用教材として活用するとともに、高大連携に生かしていこうとしている点。 平成23年度においては、上記の研究目標を遂行するため、近接性を表す語としてforを取り上げ、その研究結果を論文および著作に結実させるとともに、高大連携の結果を論文に発表し、そして2本の自学教材を作製した。
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