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2010 年度 実績報告書

英語史における空の虚辞主語の消失に関する実証的・理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21720176
研究機関島根大学

研究代表者

縄田 裕幸  島根大学, 教育学部, 准教授 (00325036)

キーワード英語史 / 統語論 / 生成文法 / 言語変化 / 形態論 / 空の虚辞主語 / 動詞第二位現象 / 豊かな動詞屈折接辞
研究概要

22年度は,主としてlike型心理動詞における奇態格経験者から主格経験者への推移を扱った。likeが選択するもう一つの項である主題が節として現れる,いわゆる非人称構文で空主語proが生じていることからこの構文の分析は本研究課題の射程に含まれる。
伝統的に,与格経験者から主格経験者への変化を引き起こした要因として,名詞の与格が主格と同形になったことか挙けられることが多い。しかし,Allen(1995)による詳細な調査は,英語中における与格経験者の主格経験者による置き換えが,数世紀にわたる長期間の変化であったことを明らかにした。これは,言語変化か突然,急激に生じるという生成文法の言語観にとって深刻な問題となる。
この問題を解決するため,本研究では当該の変化を(a)形態的与格の利用可能性.(b)CP指定部での主語の認可,という2つのパラメターによって分析することを試みた.具体的には、以下の2点を提案した。第一に,形態的与格に関する(a)のパラメターがyesからnoに変わることで,主格経験者が現れるようになった。ただし,この時点では奇態格経験者もまだ認可されていた。第二に,CP指定部での主語の認可に関する(b)のパラメターがyesからnoに変わることで、奇態格経験者が消失した。したがって,14世紀半ばから16世紀初頭にかけての,奇態格経験者と主格経験者が共存していた時期は,(a)がno,(b)がyesに設定されていたことになる。
本研究の意義として,通時的変化の要因を細分化することで,一見したところ漸進的に見える統語変化を生成文法が仮定する断続的なパラメター変化によって説明できることを示した点が挙げられる.とりわけ,単一のテキストに古い言語形式と新しい言語形式が共起する事例を説明するために,本研究の手法は広く応用可能であると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Gradual Parametric Change? Revisiting the Loss of Non-Nominative Experiencers of Like2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki NAWATA
    • 雑誌名

      近代英語研究

      巻: 第27号 ページ: 75-99

    • 査読あり
  • [雑誌論文] On the Resetting of the Subject Parameter by Japanese Learners of English : A Survey of Junior High School Students2010

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki NAWATA, Keiko TSUBOKURA
    • 雑誌名

      Second Language

      巻: Vol.9 ページ: 63-82

    • 査読あり

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公開日: 2012-07-19  

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