本研究は、日本語学習者に対する効果的な終助詞の指導法を提示することを目的としている。その第1段階として、本研究の3年間は日本語学習者の終助詞使用の実態を明らかにすることを研究課題とする。初年度である昨年度は、先行研究における終助詞の機能分類を文法的・誤用論的条件から再検討し、本研究の理論的な枠組みとともに会話における終助詞の機能を分類することができた。また、学習者の終助詞の学習状況を把握するために、昨年度は初級、中級日本語教科書(計7冊)における終助詞の扱われ方の現状を、機能種類と出現頻度などを中心に調べた。教科書分析からは、「ね」「よ」は初級のかなり早い段階から導入されているにも関わらず、十分な説明がされている教科書は少ないこと、中級以降でも「ね」と「よ」の使用は多く見られるが、その機能に関する説明は一部に止まっていること、「よね」は中級以降で導入されているが、その数はかなり少ないなど学習者の終助詞の学習状況が明らかになった。また、昨年度は母語場面の会話と、初・中級学習者による接触場面の会話のデータを収集し、その中から母語話者と学習者の実際の終助詞の使用を抽出し文字化データにすることができた。次年度はこれらの会話データの分析を行い、昨年度の教科書分析の結果と照らしながら、学習者の終助詞の習得の実態をさらに明らかにしていく予定である。また、引き続き中・上級学習者の終助詞の使用についても調査し、母語話者の終助詞の使用と比較分析し、学習者の終助詞の使用の特徴をまとめる予定である。
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