本研究は、日本語学習者に対する効果的な終助詞の指導法を提示することを目的としている。その第1段階として、本研究の3年間は日本語学習者の終助詞使用の実態を明らかにすることを研究課題とする。昨年度は初年度に続き、日本語学習者の終助詞の学習状況を把握するために、初級・中級用の計9冊の日本語教科書における終助詞の扱い方を調べた。2年目の教科書分析では、終助詞の出現頻度だけではなく、終助詞「よ」「ね」「よね」の機能を「命題内容の事柄の領域」という観点から「話し手領域」「聞き手領域」「中立領域」の3つの領域に分け、それぞれの領域における終助詞の機能が日本語教科書においてどのように現れているかを分析、考察した。これらの結果については、関連学会での口頭発表と研究論文としてそれぞれまとめ、公開した。また、昨年度は国内外における初級日本語学習者の母語話者との会話(計10組)を収集し、文字化とともに会話における終助詞の使用も分析した。接触場面の調査では日本語学習者の実際の終助詞の使用の問題を社会言語能力から考察することで、問題の原因やコミュニケーションに与える影響について明らかにすることができた。さらに昨年度は中級と上級日本語学習者の接触場面の会話(計10組)についても調査を行い、会話の文字化とデータの整理を行った。本研究の最終年度である本年度は、これらの会話文字化データについてさらに分析と考察を進め、本研究の目的である日本語学習者の終助詞の使用の問題とそれに対する有効な指導法についての提案をまとめたい。
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