21年度は、(1)過去の学習者ライティングデータの整理、(2)本研究のテスティングに関する情報収集、(3)教育プログラムの実施と語彙・文法に関する明示的指導の実施、およびデータ収集、(4)辞書行動調査ブロックの作成を行った。(1)に関しては、2007年・2008年の教育プログラムにおけるSQL形式のデータをWordSmith等のコーパス関連ツールで扱えるようテキスト処理によるデータの整理を行い、それを語彙・文法指導用教材作成の基礎データとした。(2)に関して、2009年8月ベルギーのアントワープ大学で開催されたDesign Based Researchのワークショップに参加し、本研究のデザインに関してコメントを頂いた。(3)について、教育プログラムを2009年10月から2010年1月まで、5ヵ国338名の参加者に対して実施した。うち、104名の日本の参加者に対して、9回の語彙・文法一斉指導を実施した。さらに教育プログラム実施中、自習型文法学習教材CASEC-GTS(R)を日本人参加者に任意の自習教材として導入した。また、プログラム中、エッセイ指導において、教師が添削を行い、語彙・文法面で指導を行った。事前・事後の文法テストの結果、定型的表現に関する平均スコアの方が、より深い文法的理解を要する項目の平均スコアの上昇よりも顕著に見られるという傾向が観察された。これらを受け、テストスコアおよび教育プログラム中で集めた学習者の中間言語と学習者の心理言語学的状態との関連と、自習教材の学習量の影響の有無について分析を進めた。(4)に関して、Moodleに付加する辞書行動調査ブロックを作成、パイロット研究を行った。
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