本研究は、学習者の継続的な取り組みが必要とされる外国語(英語)語彙学習の分野において、学習方略使用を促す電子ポートフォリオを開発し、学習支援の効果を実証的に検証することを目的として行われた。電子ポートフォリオは学習者個人が持つ語彙項目毎の知識段階を語親密度として定義、システム上で表示するとともに、学習方略を使用する基準として機能させることで学習者自身による学習管理を促すものである。また、電子ポートフォリオは教師が課題を配信するブログと連携することで授業内外の学習の連携を図るとともに、学習者の登録データ、学習成果を共有することで学習者間の協調的な学習を実現した。平成22年度は、研究初年度に開発した電子ポートフォリオの運用期間に得られた学習者のフィードバックを基に、まずシステムの改修を行った。また、一部携帯機器と連携するシステムの開発を行った。改修した電子ポートフォリオシステム、携帯機器用学習システムは研究代表者の担当する授業の受講者に公開し、その効果を検証した。調査では、本ポートフォリオシステムによりメタ認知的に語彙知識をモニタリング、コントロールしながら学習を管理することが学習目標となった語彙知識の定着度に貢献することを示した。これは、これまでの先行研究が質問紙調査など間接的な測定で示してきた学習方略使用と学習成果の関係を実際の学習ログと語彙知識測定との直接的な関係から実証したことで意義を持つものである。さらに、学習者を対象に行った語彙学習方略質問紙調査において、学習支援により語彙学習方略使用が活性化したことを確認した。また、質問紙調査により95%以上の学習者に電子ポートフォリオシステムを使用した学習が英語語彙学習に有効であると認識されたことが示された。これら研究成果は学会誌に論文を投稿中である。
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