本研究プロジェクトの焦点は、日本人の経営学専攻の学生が商取引の場で英語を使用する意欲を育成し、またグローバル経済においては、文化的要因がいかにビジネスの場における商取引関係を媒介する要因となるかという側面への「気づき」を高めることにあった。第一に、学生の「コミュニケーション意欲」(WTC)が、英語でプレゼンテーションを行う「模擬交易ショー」の場で、学生の実際の英語使用にいかなる影響を与えるかを調査した。第二に、学生の「異文化に対する姿勢」("Interculturalposture")のレベルと学生の英語使用との関係を評価し、第三に、コンピューター支援による外国語学習(CALL)が、学生のWTCレベルの向上とビジネスの場における文化の影響に対する学生の理解力を高めるために、どのように役立つかを評価した。経営学専攻の日本人学生の異文化理解への「気づき」と実際の英語使用が、時間の経過につれてどのように発達していくかを詳細に記述した。特に、学生のWTCレベルと自分の属する文化及び異文化への理解力のレベルを高める手段としてのCALLを利用したタスク中心の言語活動について、その効果を測定した。アンケート調査等の定量的な研究方法と、内容分析等の定性的な研究方法を組み合わせ、当該の問題に対するよりきめ細かな記述を達成する事が出来た。本研究プロジェクトの独創性は、学生の英語の「コミュニケーション意欲」(WTC)と異文化理解力の向上のために、日本の英語教育実践の場における独自の企画と思われる「模擬交易ショー」を実施し、CALLを利用したタスク中心の言語活動がどのような有効性を持ち得るかについて、従来の研究に比してより高度な心理測定調査に基いた包括的な記述を行うことにある。同時に、カリキュラムの設計者と教授者に具体的な教育指針を与える研究となっている。
|