この研究では、日本人大学生英語学習者を対象にして、リーディングを通じてそれぞれの学習者の語彙力のプロフィールを作成し、学習者の不足している語彙をコンピュータと携帯電話などのモバイル・デバイスでのタスクで提供して、語彙力を向上していくことを目的とした。 今までは、学習者はリーディング中にどのように単語を調べるのかがほとんど知られていなかったため、学習者はどの単語を見るかを具体的に記録を残すためのシステムが開発された。学習者用のインターネット上のインターフェイスと語彙コーパスのデータベースを構造して、英単語、英語の意味、和訳、音声、意味を表す例文、定義のコーパスを作成した上でリーディングの文章の選択・作成を行った。このシステムで英文を読むと、データベースにある単語は自動的に注釈がつき、学習者が自由にクリックして、上記の情報を閲覧することができる仕組みとなった。システムを通じてクリックされた単語の全てがそれぞれの学習者のプロフィールとなり、クリックされた単語を元に自動的に語彙のタスクが作成されるため、終了後にパソコン又は携帯電話でそのタスクをすることができる。 このシステムを利用し、学習者のプロフィールを作成し、学習者は実際にどのような単語を知り、どのような単語を調べることを調査した。研究者の一年生向けのクラス(合わせて79名)の学習者で2ヶ月の期間で調査を行った。語彙の上達は事前・事後調査によって調べた。リーディングは研究者によって作成したものと、学生が自由にインターネットから取り出したものの組み合わせとなった。学習者は2ヶ月の間ライティングのタスクを4回行い、リーディングで調べた単語と、ライティングで使用した単語の比較を行った。終了後は、学習者のシステム、携帯又はパソコンで行ったタスクなどについての感想をアンケートで聴取し、実際のパターンも細かく分析した。
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