研究概要 |
本研究は、研究代表者が平成19年度~20年度で若手研究(B)「英語学習者の音読における韻律の研究:項目応答理論による評価の分析と音響学的測定」で助成を受けて収集した約100人のアジア人英語学習者の音読データベースを利用し、英語学習者の音読における韻律の自動評価システムを構築し、そのシステムの評価をするものである。 平成21年度前半では、平成19-20年度収集済み音読データの評価値、客観的測定値の計測法の再検討を行った。古典的テスト理論、多相ラッシュ・モデル、Shojima, K.(2007)で提案されたニューラルテスト理論を評価値分析の方法として検討した。また、客観的測定値を精査するために、TIMIT Acoustic-Phonetic Continuous Speech Corpusを用い、第二言語学習者の音読の音素アライメントに適した音響モデルをHidden Markov Model Toolkitを用いて作成し、学習者が音読において熟達度の差を見せる特徴と評価値の相関関係を再検討し、教師による評価値を予測する精度の高い予測式を得た。 平成21年度後半では、平成21年度前半で求めた予測式、構築した音響モデルを用いて、上記のアジア人英語学習者の音読データベースの発話データの収集に利用されたテキスト『北風と太陽』を用い、受検者の発話能力を自動的に判定する自動評価システムの構築を行い、提案したシステムを実装した。新たな受検者を募り、その発話を本システムおよび評定者が評価を行った。本システムの評価と評定者による評価の上一致度を検証したところ、かなりの程度の一致度が見られた。
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