研究課題
本年度の研究では、昨年度の研究より得られた仮説(メタ認知的知識・方略の習得には、他者との関係が重要である)を検証するための研究がおこなわれた。具体的には、教室内での協働学習により、学習者がメタ認知的知識・方略の使用を効果的に使用するようになり、自律的な学習を促進させることができるようになるかどうかを検証した。研究への参加者は(実験群・統制群合わせて)132名の大学生であった。両群の学習者たちは、毎週約20分間の方略指導を3ヶ月半に渡って受けた。指導では、毎週1つのメタ認知的知識または方略が具体例などとともに紹介された。指導後には、それらのメタ認知的知識や方略を自身の学習にどのように取り入れるかについて話し合う時間が、実験群にのみ与えられた。参加者からのデータ収集は、クローズ・テスト、方略使用頻度を測定する調査紙、そして授業中の協働学習活動やメタ認知的知識・方略の使用に関するアンケートによりおこなわれた。収集されたデータは、量的および質的に分析され、学習者のメタ認知的知識・方略の使用が指導前後で変化したかどうかについて調査された。分析の結果、実験・統制両群ともに、メタ認知的知識・方略の使用には変化が見られず、学習者間の話し合いの機会が提供されるだけでは自律的な学習を促進するのには不十分であることがわかった。しかしながら、さらなるデータ分析から、授業中の別の協働学習活動が、授業外の個別学習を定期的におこなう支点となっていることがわかった。つまり、授業外の一見自律的にみえる授業外の個別学習は、他律であり、授業内での学習者同士の協働学習活動が、授業外の学習を成立させる上で重要であることがわかった。
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Proceedings of the Japan Association of College English Teachers (JACET) 50th Commemorative International Convention
巻: (掲載確定)
英語リーディング指導ハンドブック(門田修平、野呂忠司、氏木道人(編著))(東京:大修館書店)
ページ: 273-276
ページ: 361-373