本年度は研究の第1年目であったので、史料調査・収集を中心におこない、研究基盤の整備を進めた。 第1に、戦時、戦後の岩手県における医療・生活問題に関わる史料を収集した。具体的にはJA岩手学園、岩手県国民健康保険組合連合会などでこれまで収集してきた史料に加えて、東北凶作に焦点をあてて、岩手県立図書館や国立国会図書館にて、雑誌・新聞・書籍類を、また国立公文書館、岩手県庁にて公文書を収集した。さらに、収集した史料を分析して、岩手県における「東北大凶作」の実態と対応について検証した。 第2に、戦後の埼玉県を中心とした地域医療、医療運動に関する史料を数多く含んだ「大島慶一郎関係資料」(埼玉県ふじみ野市立大井郷土資料館所蔵)の整理を進めた。予想以上の史料数であったため、完全には整理を終わらせることができなかったが、1970年代までの医療関連の史料についてはほぼ終了した。新日本医師協会、医療民主化全国会議、全日本民主医療機関連合会などの機関紙、大会会議録などを収集できた。本研究の基盤となる史料群であるので、来年度も史料の整理を継続して、目録の作成を目指したい。 第3に、日本赤十字社佐賀県支部が所蔵する史料を調査し確認をした。それを利用して、朝鮮戦争下に日赤看護婦が動員された事例に関する論文を執筆した。
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