大宝令は古代国家の基本法であり、律令国家の構想を規定したものであるが現存しない。養老令や逸文によって推定されているが、手本とした唐令が現存しなかったため不明な点が多かった。そこで本研究では、大宝令逸文を核として、近年中国で発見された天聖令から復原した唐令を使用するという新たな方法で大宝令の復原を行う。21年度の研究は下記の通りである。 (a) 唐日令比較研究については、研究の進展に即応して計画を変更し、近年の天聖令に関する研究史を整理するという基礎的作業を行った。天聖令に関する詳細な研究史整理は初めての成果であり、今後の指針となる成果である。また当初の計画通り田令研究を進め、天聖令から復原される大宝令について総括的な検討を加えた。当初予定していた唐日令比較表の作成は22年度に実施することとした。 (b) 『令集解』研究については、大宝令復原に関する文献収集・整理を中心に実施した。複写した文献は編目ごとに整理され、検索には至便となっている。ただし想定以上の文献が存在していたため、謝金作業による複写は雑誌論文を中心とし、書籍については直接経費で購入することとした。当初の計画にあった『令集解』古記のデータ作成および校訂作業は22年度に実施することとした。
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