大宝令は古代国家の基本法であり、律令国家の構想を規定したものであるが現存しない。養老令や逸文によって推定されているが、手本とした唐令が現存しなかったため不明な点が多かった。そこで本研究では、大宝令逸文を核として、近年中国で発見された天聖令から復原した唐令を使用するという新たな方法で大宝令の復原を行う。22年度の研究は下記の通りである。 (a)唐日令比較研究については、昨年度実施した天聖令研究史の整理に基づき、天聖令残存部分の唐日令を比較して一覧表化し、5月に研究報告を実施した。さらに天聖令と養老令を比較することによって、日本令全体における唐令継受の傾向について、その割合を数値化し、3月に論文として発表した。なお、唐日令比較表は作業用として2段組のものを作成し、計画にあった3段組の表は23年度に作成することとした。 (b)『令集解』研究については、まず謝金作業により大宝令復原に関する研究文献目録(雑誌論文編)を作成し、養老令の条文番号を入力して、条文ごとに検索できるようにした。つぎに『令集解』古記のデータを作成した。具体的には明治大学古代学研究所の『令集解』全文データより、大宝令逸文を含む古記および諸説を抜き出し、令文との関係が判る形で整理した。重複のため「古記無別」などの表記で引用が省略されている部分も同様に整理した。写本による校訂作業および『令集解』における大宝令引用法の分析は23年度に実施することとした。
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