近代日本における歴史認識、特に幕末の「志士」に対する叙述と顕彰のあり方から、幕末維新という時代に対する思考について考察した。旧大名家史料群のなかから、「志士」と呼ばれた人々によって書かれた書状、記録を調査し、「志士」像の捉えなおしをおこなうとともに、近代に編纂された郷土史などの内容を考察することにより、どうして近代日本の地域社会において「模範的人物」と意義付けられるのかを明らかにすることを目指した。さらに、これまで明治維新史研究に利用されてこなかった京都府下の社寺に所蔵される史料を利用し、幕末維新期における社寺の政治的意義について考察した。
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