本研究は近現代上方歌舞伎の伝承について、とりわけ裏方と称される舞台技術者が伝えてきた「演劇的知識(演劇知)」や技芸・技術について、文献史料はもとより、聞き取り調査という民俗学的手法を用いて明らかにし、現代歌舞伎への伝承をうながし、なおかつ、「近世上方歌舞伎」の近代での展開を解明することを目的としたものである。 研究成果としては、戦後関西歌舞伎の小道具方の修行内容や伝承内容・系譜・過程を聞き取り、具体的に明らかにすることできたことや、これまで未発見であった関西歌舞伎の小道具附帳の発見とその分析を行えたこと、さらに、本研究の調査過程で、初代中村魁車と京都の知識人との関係について調査し、未発見の資料の発掘などができたことである。
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