本研究は、4年間で以下の4点について明らかにすることを目的におこなった。 (a)琵琶湖全域における漁業権の把握、(b)実際の漁業範囲の把握、(C)漁業争論における「漁業権」の利用のされ方についての検討、(d)漁業権に影響される漁村の地域秩序 平成21年度~22年度には(a)~(c)の作業を中心におこない、平成23年度は(d)の作業をおこなった。最終年度にあたる平成24年度は、(a)~(d)の作業をまとめるために、①論文の作成、②調査した漁業史料の活字化および史料集の準備、③日本における漁業権の歴史的変遷についての研究をおこなった。 ①については2本の論文を作成した。②については、収集史料のうち、とくに重要なものについては、研究代表者および研究協力者(アルバイト)に依頼をし、翻刻をおこなった。それらは、琵琶湖漁業史料を集めた史料集として刊行することを考えている。③については、「漁業権」の多様なあり方を把握するために、漁業をする「場」の所有という視点で捉えなおし、研究をおこなった。具体的には、琵琶湖の「場」の所有を、漁民・支配側(領主・幕府)がどのように理解認・識していたのかを解明する作業をおこなったのでるが、平成24年度はとくに、寺社の土地所有にも関わる禁漁場の問題について注目し、研究に着手した。
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