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2010 年度 実績報告書

戦前・戦中期の水平運動における部落民アイデンティティと融和政策の相関に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21720247
研究機関四国大学

研究代表者

関口 寛  四国大学, 経営情報学部, 准教授 (20323909)

キーワード部落問題 / 水平運動 / 融和政策 / 被差別部落民 / アイデンティティ / 社会運動
研究概要

今年度は、1920年代に水平運動と融和運動の垣根を越えて繰り広げられた被差別部落民の社会的定義にかんする論争についての研究を行った。両運動の機関紙誌類を中心に解析を進めた結果、次のことが判明した。第一次大戦後の民族自決論などの影響から、1920年代初めには被差別部落民を「民族」として捉える論調の色濃かった。しかし1920年代半ばころから日本にマルクス主義理論が本格的に紹介されるようになり、その影響から封建制度下に置かれた「身分」として被差別部落民を理解する論調が大勢を占めるようになった。この成果を論考としてまとめ、「水平運動における「民族」と「身分」」(黒川みどり編『近代日本の「他者」と向き合う』解放出版社)としてまとめた。
さらに、戦時下における水平運動と融和運動の共同行動に関し、これまで十分に分かっていなかった事実関係の研究に着手した。京都および東京に赴き、関係資料の収蔵機関において各都道府県レベルにおける同和奉公会支部の活動について事実関係の調査を行った。また戦時下の融和運動の未復刻分の関係雑誌の論調を調べた。これに関連して識者への意見聴取のために研究会に参加するなどした。その結果、戦時下においては水平運動と融和運動の間で形成された共通の部落問題認識にもとづき、共同行動が成立しつつあったこと、また時局の動向と密接に連動しながら、両運動の合同が画策されたことが明らかになった。しかし戦時下の時局の推移のなかでその計画は阻まれ、実現されないまま敗戦を迎えたことが判明した。

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公開日: 2013-06-26  

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