中世アラブにおけるイスラーム寄進制度(ワクフ)の社会的機能

2011 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 21720253
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 東洋史
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 五十嵐 大介 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 客員研究員 (20508907)
• 研究期間 (年度): 2009 – 2011
• キーワード: 西アジア / イスラーム史

研究概要

イスラームの宗教寄進制度(ワクフ)は、前近代のイスラーム世界各地で広く普及したが、その理由としては、それが信仰心や利他的な善意のみに支えられた単純な「慈善行為」ではなく、寄進者たちにとってそれを通じて獲得できる、より現実的・利己的な動機があった。本研究では、現存するオリジナルの寄進文書を主な史料として用いて、ワクフ制度が中世アラブ社会で果たしていた多面的複合的な機能を明らかにするとともに、それが寄進者たちの個人的社会的状況に応じて戦略的選択的に利用されていたことを明らかにした。

研究成果

• [雑誌論文] 14世紀末～16世紀初頭エジプトにおける土地制度の展開:ワクフ(寄進)地の拡大とその影響 (2012)
  • 著者名/発表者名: 五十嵐大介
  • 雑誌名: 史苑 巻: 第72巻第2号 ページ: 85-94
• [雑誌論文] あるマムルーク軍人の生涯と寄進:キジュマースの事例に見るワクフの多面的機能 (2011)
  • 著者名/発表者名: 五十嵐大介
  • 雑誌名: 史学雑誌 巻: 第120編第3号 ページ: 39-65
  • 査読あり
• [雑誌論文] The Evolution of theSultanic Fisc and al-Dhakhirah duringthe Circassian Mamluk Period (2010)
  • 著者名/発表者名: IGARASHI Daisuke
  • 雑誌名: Mamlk Studies Review 巻: Vol.14, no.1 ページ: 85-108
  • URL: http://mamluk.uchicago.edu/msr.html
  • 査読あり
• [雑誌論文] 財産保有形態としてのワクフ:「自己受益ワクフ」の理論と実態 (2009)
  • 著者名/発表者名: 五十嵐大介
  • 雑誌名: 東洋学報 巻: 第91巻第1号 ページ: 75-102(029-056)
  • 査読あり
• [学会発表] 14世紀末～16世紀初頭エジプトにおける土地制度の展開 (2011)
  • 著者名/発表者名: 五十嵐大介
  • 学会等名: 2011年度立教史学会大会・特集「中世史研究の現状と課題」
  • 発表場所: 立教大学池袋キャンパス
  • 年月日: 2011-07-02
• [学会発表] ReligiousEndowments of the Mamluk Amir Qijmasal-Ishaqi (2011)
  • 著者名/発表者名: IGARASHI Daisuke
  • 学会等名: 20th Colloquium on the History of Egyptand Syria in the Fatimid, Ayyubid, and Mamluk Eras(10th-15th centuries)
  • 発表場所: Ghent University, Ghent, Belgium
  • 年月日: 2011-05-13
• [学会発表] Waqf as a Means of Holding Assets : The "Self-BenefittingWaqf" in Mamluk Egypt (2011)
  • 著者名/発表者名: IGARASHI Daisuke
  • 学会等名: International Conference on Egypt and Syria under Mamluk Rule : Political, Social, and Cultural Aspects
  • 発表場所: The University of Haifa, Haifa, Israel
  • 年月日: 2011-04-12
• [図書] 中世イスラーム国家の財政と寄進:後期マムルーク朝の研究 (2011)
  • 著者名/発表者名: 五十嵐大介
  • 総ページ数: 330
  • 出版者: 刀水書房
• [図書] アフロ・ユーラシア大陸の都市と宗教(中央大学人文科学研究所(編)) (2010)
  • 総ページ数: 199-241
  • 出版者: 中央大学出版部