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2010 年度 実績報告書

出土文献を用いた西夏王国の交通制度に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21720256
研究機関新潟大学

研究代表者

佐藤 貴保  新潟大学, 研究推進機構超域学術院, 准教授 (40403026)

キーワード西夏 / 交通制度 / 中央ユーラシア史 / 西夏語文献調査 / ロシア
研究概要

本年度は、平成21年度に行った法令集『天盛禁令』の交通制度に関連する条文の訳注作業を基に、条文の内容の考察を進めた。
その結果、1)西夏王国の中央政府から派遣された使者は道中、「牌」「符」とよばれるものを所持していたこと、2)「牌」は、使者一般が所持するもので、旅行の途上で騎乗するための駄獣を調達できる通行手形としての機能を有したこと、3)「符」は、挙兵の伝達を行う使者が所持する身分証であり、「符」単独では駄獣を調達ができず、「牌」を同時に携行する必要があったことを明らかにした。
さらに、「符」については、a)中央政府から地方の軍管区の役所へ挙兵の知らせを伝達する際に用いるもの、b)それとは別に、地方の軍管区から管轄下の軍団に挙兵の知らせを伝達する際に用いるもの、c)宮中で働く者が使者として派遣される場合に持つ「刀符」と呼ばれるもの、以上の3種類があることを明らかにした。
一方、法令が規定通りに運用されていたのか検証するため、行政文書群の解読を行った。当初の予定では、写真版からの予備調査を経て、平成22年度中に文書群を所蔵するロシアの研究機関で実見調査を行う予定であったが、難解な草書体の文字の解読に手間取ったために予備調査が遅れ、平成23年夏に実見調査を実施した(渡航費は、平成22年度分の繰越金を充当)。調査の結果、1)中央政府から地方へ派遣された使者、ならびに地方へ赴任した官僚が、法令集の規定通りに、「牌」と同時に「頭子」と呼ばれる書状を所持して旅行していたこと、2)「牌」には法令集に現れる銀牌や鍮牌のほかにも、金牌が存在し、金牌は高位高官が所持していたことが確認された。この考察結果は、平成24年春に中国から刊行される学術誌『西夏研究』に中国語で発表掲載される予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 西夏法令集『天盛禁令』符牌関連条文訳注(上)2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤貴保
    • 雑誌名

      西北出土文献研究

      巻: 8 ページ: 101-120

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 現物調査に基づく西夏法令集『天盛禁令』条文の復元2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤貴保
    • 雑誌名

      遼金西夏研究の現在

      巻: 3 ページ: 87-106

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Study of the Tangut(Xixia) code based on inspection of actual texts2010

    • 著者名/発表者名
      SATO Takayasu(佐藤貴保)
    • 雑誌名

      中国多文字時代的歴史文献研究

      ページ: 280-292

  • [図書] オアシス地域の歴史と環境-黒河が語るヒトと自然の2000年2011

    • 著者名/発表者名
      中尾正義・佐藤貴保, ほか計8名
    • 総ページ数
      281
    • 出版者
      勉誠出版

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公開日: 2013-06-26  

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