研究課題/領域番号 |
21720262
|
研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
藤田 英里 広島市立大学, 国際学部, 研究員 (70516012)
|
キーワード | インドネシア史 / 民衆運動 / 地域社会 / ジャワ / バンテン / ランプン / 移民 / 出稼ぎ |
研究概要 |
平成23年度に実施した研究の成果は、まず西ジャワ・バンテン地域からの最大の出稼ぎ先である南スマトラ・ランプン地域の実態を検討したことである。研究者はこれまでバンテン地域の村落首長の社会的地位および村落共同体の変容について検討を進めてきた。今回、ジャワ以外の地域においてオランダ植民地政庁の介入がどのように地域社会に影響を及ぼしたのかを解明することで、バンテンや他のジャワの事例とその変容過程を比較検討することを目指した。その結果、ランプンにおける村落共同体マルガは、一度はオランダ植民地政庁の介入で消滅したと言われたが、20世紀初頭から慣習法学者の台頭により再評価され、その際に新たに設定されたマルガ領域及びその首長が現在のランプンのデサ(村)及び村長の起源となっていることを解明し、こうした一連の政策によって地域社会側からどのような抵抗運動が生じたのかをも明らかにした。 これらの研究を進めるために、オランダの国立総文書館やオランダ国立民族研究所(KITLV)、インドネシアの国立文書館や国立図書館で、当時の新聞や雑誌の記事を収集した他、現在も調査を継続中である。またこれらの成果の一部を、2011年10月に開催された東南アジア研究会にて報告した他、海外の雑誌に論文として発表する準備を進めている。これは交付申請書に記載した本研究の目的である、農村の階層構造や農業生産力と民衆運動を関連づけて考察するという作業の一環として位置づけられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の影響により、研究費の減額の可能性があったため、海外調査に行く計画を年度の後半にずらさざるをえなかった。そのため、平成23年度に収集した史料を年度中に利用することが難しかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度が現在の科研の最終年度になるため、現在進めている課題に一定の結論を出したいと思っている。史料が膨大なため今年度中にすべてを整理することは不可能であるが、これまで収集してきた史料を見直し、効率的且つ有効に活用することで、バンテンの地域社会の変容を新たな視点から再構築したいと考えている。
|