研究概要 |
1.研究の第2年度にあたる2010年度は、2009年度に引き続き、イギリスの首都ロンドンを校正する都市=選挙区のひとつ、ウェストミンスタの選挙と政治文化の調査・分析を1807年から1837年までの時代を対象にして進めた。そのさい、1832年の選挙法改正によって選挙区の特徴が変容したことをふまえつつ、首都の改革運動における同選挙区の重要性、エヴァンズ将軍などの議員のリーダーシップの意義について再検討をおこなうことで、首都の政治文化における連続性をあきらかにした。 2.以上にくわえて、本年度は、ウェストミンスタに隣接するロンドン・シティ(The City of London)の選挙と民衆政治についても、本研究が設定した検討時期の前半期にあたる1780年から1806年までを対象に研究を実施した。まず、同選挙区を代表した議員の経歴などの基礎的事項を確認したうえで、2010年8月から9月にかけて、ロンドンの英国図書館ならびに同図書館コリンデイル分館、ロンドン大学歴史学研究所などにおいて、新聞・定期刊行物などの史料の収集・調査を進めた。本年度の調査から、ひとまずは首都の民衆政治における急進化の進展と、根強い政府支持の傾向の双方を確認した。 3.研究調査の成果として、'Belisarius the counterfeit?Lord Cochrane,war and British radicalism,1807-1818'が、ロンドン大学歴史学研究所より公刊されたKazuhiko Kondo and Miles Taylor(eds),British history 1600-2000: expansion in perspective(London,2010)に掲載された。同論文の日本語は、史学会編『史学雑誌』にて今後公表する予定である。
|