研究課題/領域番号 |
21720278
|
研究機関 | 青山学院女子短期大学 |
研究代表者 |
秋富 創 青山学院女子短期大学, 教養学科, 准教授 (00407909)
|
キーワード | イギリス / 経済政策 / 両大戦間期 / グローバル化戦略 / 経済不況 / FBI / 英国産業連盟 |
研究概要 |
本年度の本研究では、1920年代におけるイギリスの経済戦略、特に貿易、通商政策に関連するマクロ経済政策上の経済戦略を、経済団体(経済界)の視点を通じて考察することに主眼を置いた。第1次世界大戦後の「バブル崩壊」を契機として、長期の経済的停滞に直面した20年代のイギリスが、一方では輸出振興、他方では(植民地・自治領などの「帝国」を含む)内需拡大という2つの戦略の狭間で揺れ動いたのはよく知られていることであるが、本研究は、「グローバル化戦略」を1つのキーワードに据えて、当時のイギリスの経済政策が一貫して前者の立場に与するものであり、当時の世界経済環境の状況に照らし合わせると、この戦略こそが、当時のイギリスが採るべき唯一の選択肢であったことを明らかにしようとしている。20年代にイギリスを代表する有力経済団体に成長していたFBI(英国産業連盟)の史料からは、組織内部に様々な意見を抱えながらも、当時の経済不況を深刻なものにしていた1つの要因が、政府の財政・金融政策の失敗にあることを明確に指摘し、政府に対しては毅然とした態度で政策の転換を迫っていたことが伺える。現在の研究では、このようなFBIによる政府批判の論点を整理し、検討するだけではなく、彼らが当時の経済不況の性質をどのようなものだと認識し(たとえば、一過性のものなのか構造的なものなのか)、それを克服するためにどのような「グローバル化戦略」を検討していたのか、という点についてさらに検討を進めるために、収集した史料の分析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウォーリック大学が所蔵するFBI(英国産業連盟)に関する史料の分量が、当初の想定を超えて膨大であり、分析・検討を行うのに時間がかかっているため。
|
今後の研究の推進方策 |
2011年3月の東日本大震災の発生を契機に、1920年代当時のイギリスが、第一次世界大戦とその後のバブル崩壊という厄災からの「復興」を1つのバネとして、イギリス経済の活性化をどのように考えていたのか、という新しい視点を、本研究に導入することができないかどうか現在検討している。このため平成23年度の研究成果は、本年度(最終年度)の研究成果とあわせて発表することが望ましいと考え、現在この線に沿って本年度の研究計画を立てている。
|