本研究では、北日本における縄文晩期の農耕受容過程を説明するため、使用痕・残存デンプン分析法を用いた調査・研究を行った。結果、北日本15遺跡を分析し、考古学資料から使用痕の変遷を明らかにした。また晩期の複数の遺跡から残存デンプンを検出することに成功した。また12の機関・個人所有の150点余の民具観察・残存デンプン分析を行ったほか、現生デンプン標本を作成し、考古資料との比較に十分な基礎資料を作成した。少なくとも、大洞A´式期には加工技術面から農耕の定着化がうかがえず、堅果類・根茎類を中心とした植物質食料の比重が高かったと推察される。
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