平成23年5月に薩摩焼・佐太郎窯にて同窯の鮫島寿郎氏より、薩摩焼甕の成形と成形道具について聞き取り調査を行った。薩摩焼甕については、成形時に立ち会うことができなかったので、鮫島氏に撮影していただいた各工程の写真に基づき、詳細についてご教示いただいた。また、同年8月に鹿児島県歴史資料センター黎明館にて、鮫島佐太郎氏が同館に寄贈された薩摩焼関連の写真について調査を行い、成形工程関連写真(パネル)等を撮影させていただいた。 なお同年8月末に越前焼甕の成形について、約1週間に渡り記録調査を行う予定であったが、甕の製作を依頼していたたいら窯の藤田重良右ヱ門氏が8月3日に急逝された。このため記録調査は中止し、たいら窯にて成形道具・窯等を見せていただいたほか、関係者から聞き取り調査を行った。また、福井県陶芸館にて成形道具、記録映像等について調査を行い、越前焼甕の成形工程・概要の把握に努めた。幸い、関係者から成形や道具について、かなり細かな点までご教示いただくことができた。 一方、同年8月末に、常滑民俗資料館にて常滑焼の製品・成形道具・記録映像等について調査を行った。記録映像からは成形時における越前焼との共通点・相違点をうかがい知ることができた。その他、調査資料の整理を行ったほか、文献調査を実施した。 研究成果の一部については論文「外傾接合と弥生土器」を執筆したほか、考古学研究会岡山例会にて上記論文の口頭発表を行った。
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