本研究は、6世紀から8世紀の期間における金属器の検討により、国家形成期の日本列島を古代東アジア交流のなかに位置付けることを目的とする。古墳時代後期から奈良時代にかけての時期を「国家形成期」として包括して扱い、金属器とくに装飾大刀・銅鋺・鏡などの伝来や変遷、列島各地への分散など、その意味づけを検討することにより、文献では伝わってこない歴史的事象をうかがうための基礎的研究を行う。 本年実施した研究は、以下の通りである。6~7世紀出土の銅鏡に関して、22年度に実施した広島県竹原市横大道8号墳、岡山県真庭市定北古墳、香川県高松市久本古墳、鳥取県黒本谷古墳出土遺物の調査と蛍光X線分析、鉛同位体比分析結果について検討した。国産・海外産の鉛を含む銅鏡では、それぞれ銅・錫・鉛の成分比も大別でき、その成分比も時期により変遷することが明らかになった。成果については学会発表を行った。 隋唐鏡の研究では、昨年度に引き続き資料集成作業をおこなうと同時に、国内所蔵資料の実測・写真撮影等の資料調査を実施した。現在も資料の整理中であり、21年度に行った基礎的な分類・編年体系の構築を行った。23年度中にはできなかったが、近く発表を行いたい。
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