研究課題/領域番号 |
21720290
|
研究機関 | 北海道開拓記念館 |
研究代表者 |
鈴木 琢也 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (40342729)
|
キーワード | 擦文文化 / 平安時代 / 擦文土器 / 鉄製品 / 須恵器 / 土師器 / 交易ルート / 物流経済 |
研究概要 |
本研究の目的は、古代における北海道から東北地方、さらには本州中央部の「都」へといたる交易ルートの実像を「考古学的アプローチ」はもとより、「文献史学的アプローチ」との比較検討により具体的に明確にするものである。 平成23年度の研究は、研究目的にそって次のとおり実施した。 (1)考古学的調査 1.北海道における擦文土器の特性の調査 1)北海道中川町、函館市、厚沢部町、厚真町、札幌市、千歳市、恵庭市、岩見沢市などを中心に河川流域の交易拠点となる遺跡の立地環境の調査を行った。 2)上記の地域の博物館、郷土資料館、埋蔵文化財センターなどに収蔵されている擦文土器の特性の調査を行った。 2.東北地方における擦文土器の特性と古代国家関連遺跡・遺物の調査 1)函館市教育委員会、厚沢部町教育委員会に収蔵されている東北地方出土の擦文土器関連資料の調査を行った。 2)函館市教育委員会、札幌市埋蔵文化財センターにおいて古代国家に関連する遺物の調査を行った。 3.調査結果の集積および整理・検討 1)北海道各地域の擦文土器の特性のデータ集積を進めた。 2)東北地方から出土した擦文土器の特性のデータ集積を進めた。 (2)文献史学的調査 1.文献史料、文字資料の調査 1)古代の地域名、交易品目、交易方法に関連する文献史料(記録など)の集積を進めた。 2)市立函館博物館において古代の地域名、交易品目に関連する墨書・刻書土器など文字資料を実見した。 2.調査結果の集成および整理・検討 1)文献史料に示された地域名、交易品目、交易方法に関連する記述の集成を進めた。 2)木簡、墨書・刻書土器など文字資料に示された地域名、交易品目に関連する記述の集成を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、東日本大震災の影響があり、東北地方における遺跡の現地調査および東北地方の博物館、埋蔵文化財センターなどの収蔵資料の調査を計画的に進めることができなかったが、昨年度までに進めた調査の成果を整理・検討することができた。また、北海道内の遺跡の現地調査および博物館、埋蔵文化財センターなどの収蔵資料の調査を重点的に進めることができた。したがって、研究計画全体としてはおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
東日本大震災の影響があり、東北地方における遺跡の現地調査や博物館、埋蔵文化財センターなどの収蔵資料の調査がやや遅れているのが現状である。今後は、震災被害の影響が比較的少なかった東北地方の日本海沿岸域や下北半島などを中心に重点的に調査を進める。また、震災被害を受けた東北地方の太平洋沿岸域については、現地調査などが難しい地域もあるが、これまでの調査成果をもとにその整理・検討を進めていくこととする。
|