研究概要 |
4年間の計画期間の初年度である平成21年度は(1)国際建設業者に関するデータの整備・解析及び(2)建設経済学における既存研究のサーベイを行なった. まず,(1)についてであるが,現在利用可能なデータのうち,最も包括的で信頼性が高いENR(McGraw-Hill)誌の業者別海外受注額等のデータ(『The top 225 international contractors』)を入手しうる全年次について(1978~2008年度)収集・整理し,データベースが完成した.しかし,この間において業者の統廃合が相当数見られるなど丁寧な数値の精査が必要であることも判明した.また,『The top 225 international contractors』は,各建設業者に対するアンケート調査に基づいて作成されたデータであるため,年度毎の回答状況や景気・為替レート等の影響などについてENR誌の当該記事の検討や各社の沿革の整理,周辺資料との突き合わせなどの作業も必要となる,これらの作業は次年度に進めていくことになる.概ねの目処がつきしだいポスター形式での学会発表を予定している. 次に,(2)についてであるが、建設経済学の諸論文(Construction Management and Economics誌など)・テキスト(Myers, D.2008. Construction Economics(2nd ed.).など)の精読・検討作業を進めているが,当初,検討を予定していた著作のうち刊行時期が遅れ,まだ入手できていないものもあり,こちらも,まだ作業途中である.ただし,経済成長と国内経済における建設業の関係を論じたRanko Bonの一連の研究など,本研究と関係の深い成果も得られており,引き続き文献の渉猟を進めていき,平成22もしくは23年度にこの分野の地理学的視点からみた展望論文の作成を目標に研究を続けていきたい.
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