本研究では、街路に沿って並んだアパレル小売店を配列とみなし、分析の対象とする。この配列は、消費者が実際にストリートを歩く際に体験する小売店の順番を表している。つまり、消費者が実際に体験するストリートを対象とすることで、業種の単純集計からは見えてこない、小売店と消費者の相互作用から作り出されるストリートファッションについて分析できる。原宿・表参道には、海外高級ブランド店の並ぶ表参道、最先端のファッション店舗が集まる裏原宿等の、異なる消費者層をターゲットとしたストリートが存在する。配列解析によってそれらのストリートを分類し、各グループを特徴付ける小売店を抽出することによって、ストリートが作り出すファッションについて検討する。今年度は携帯型PCとGPSを組み合わせたモバイルGISを活用して、原宿・表参道の現地でフィールド調査を実施した。従来は、現地で紙地図等に記載してからパソコンにデータ入力するという手間がかかっていたが、モバイルGISを用いることで効率的にデータ収集を行うことができた。現地で収集したデータは路面に並ぶ各店舗の業種構成であり、このデータから配列を作成することで、配列解析ソフトウェアで分析を実行することができる。配列解析を実行するソフトウェアであるClustalTXYは、ソフトウェアの作者であるC. Wilson氏と連絡をとることが困難で時間がかかったが、海外の他の研究者の協力を得て入手することができた。
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