本研究は、国境地域における越境的な地域連携の形成と発展の過程を、新たな地域の形成という観点から捉え直し、実証的に分析することを通じて、そこにおける新しい地域ガバナンス(地域統治)のあり方や地域形成のメカニズムを考察することを目的とする。平成21年度は、今後4年間の研究の準備期間として位置付け、基礎的な情報や資料の収集、文献調査、現地研究者との事前打ち合わせに従事した。 国内での文献調査を踏まえ、2010年3月に2週間、調査対象地域であるスイス・ドイツ・フランスの国境地域のオーバーライン地域で予備的な現地調査を実施した。現地調査の拠点となるフライブルク大学地理学研究所では、Stadelbauer教授と研究計画について議論を行うとともに、本研究にとって重要な現地の研究者や研究所について情報提供を受けた。さらに、大学図書館や行政、公文書館、地元新聞社等で、資料の収集をおこなった。 これらの研究活動により、研究対象地域での実情や議論を把握することが可能となり、研究課題の位置付けがより鮮明となった。加えて、研究のあらたな課題や問題点も明確となり、次年度以降の本格的な現地調査計画の修正・精緻化が可能となった。諸般の事情から年度末の現地調査となったため、当該年度中に研究業績を発表できなかったが、引き続き収集した情報やデータの解析を進めており、平成22年度中には学会発表および論文で成果を公開する予定である。
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