本研究の主な成果は、先の戦争で大規模な被害を受けた日本の都市が、戦後に連合軍が進駐して、事実上、米軍の占領下に入るという特異な条件のもとで、いかにして都市の再建・復興を成し遂げたのか、そしてその過程に米軍がどのように介在したのかを分析し、当時の都市建設・復興(都市再建)に固有の理念と空間的な論理の一端を明らかにしたことである。本研究では、H・ルフェーブルの「空間の生産」概念にもとづいて、とりわけ戦後沖縄の都市復興(那覇)を事例に、戦後都市形成の歴史地理を考察した。その結果として明らかになったのは、那覇の都市建設における首都的性格という特異性と、米軍統治下という状況に固有の形成過程という二つの側面があることである。すなわち、首都であるがゆえに空間管理の徹底を旨とする都市計画と、人口流入という社会的趨勢に応じた、なかば自然発生的な市街地形成とがところによってはモザイク状に入り組み、現在の景観を成り立たせている過程を浮き彫りにすることができた。
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