ヒマラヤ山脈を水源にもつブラマプトラ川流域の高地~低地域を対象に,短期間に発生する洪水氾濫が微地形に与える影響を復原し,居住域としての集落域や水田や畠・畑作などの生産域の変容過程を明らかにすることを目的として,最終年度の現地調査と成果の公表を行った. 昨年度までの現地調査で不足していたデータを補うべく,インド北東部山岳地域~ブータン東部(高所)と,下流地域のバングラデシュ(低地)の最下流域を対象に,研究対象国の政情を把握しつつ,他の関係研究プロジェクトと整合性を持ちながら,調査成果の公表作業を中心に行った.研究対象地域は外国人の入国制限が厳格化されたため,他の関係プロジェクトで現地調査を集中して行い,最終年度の本研究では,成果の公表のための作業を中心に行った.特に,研究対象地域のブータンとバングラデシュ共同研究者とワークショップを開催し,研究成果の公表と現地研究者らとの情報共有を試みた. 以上の最終年度の結果,①低所では,約1300年前頃の地形環境の安定期に民族移動を伴う土地開発が行われたことが示唆され,それに関して日本の沖積平野との関係性で議論した.また,②高所に関しては,約一千年前以降に民族移動が活発化した知見を得ることができ,特に東ブータン地域の成果の公表に努めた.さらには,研究成果の公表通知や現地情報を公表する媒体としてのオフィシャル(公式)Webサイトのコンテンツを継続して整備した.
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