平成25年6月には、マカオで開催されたICAS8 (The Eighth International Convention of Asia Scholars)にて、南インドの神霊祭祀と反開発運動に関する発表を行った。9月には、京都大学人文科学研究所にてActing with Nonhuman Entitiesと題する国際シンポジウムを開催し、発表を行った。また、11月にはシカゴで開催されたThe 112th AAA Annual Meetingにて、Worlding with the Bodyと題するパネルの一環として、神霊祭祀と開発事業との絡み合いに関する発表を行った(このパネル発表についてのインタビューは、Cultural Anthropology誌の傘下にあるAnthroPodという電子媒体で公開されている)。上述した国際学会とシンポジウムでの発表を発展させ、二本の英語論文を執筆した(そのうち一本は4月に刊行予定である)。人間と神霊のパースペクティヴの交換に焦点を当てた論文をJournal of the Royal Anthropological Instituteに投稿し、受理・掲載された。また、神霊祭祀と開発事業の関係をリスク・コミュニケーション研究と物語論の視座から分析した論文を『社会人類学年報』に投稿し、受理・掲載された。これらの論文は、南インドにおける神霊祭祀の現状と特徴を詳細に記述したのみならず、神霊祭祀と村落社会のポリティカル・エコノミーとの絡み合いや、大規模な開発事業との関係を明らかにしたものである。平成26年2月下旬から3月中旬まで、南インド・カルナータカ州マンガロール郊外の農村部で現地調査を行い、開発事業の伸展に伴う神霊祭祀の変容についての調査を行った。開発事業と環境運動、神霊祭祀の関係については、今後も調査を継続していく予定である。
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