本研究では、文化人類学的調査の過程であるフィールドワークに焦点をあて、人類学実践から開発援助への寄与の可能性を検討することを狙いとする。このため、「場」を鍵概念として、調査者を含む様々な出会いや相互作用が生じるさまを観察対象とした。事例群の考察を通して、調査者の「人々の現実に寄り添う」姿勢や視点、問いのありかたが、援助現場において特徴的なコミットメントとしてみえてきた。このようなフィールドワーカーのその場へのかかわりは、相互作用的な実践スキルとして、人々を分野別の問題対象と見がちな制度的支援現場において意義を有するのではないかと結論づけられた。
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