2年計画の第1期である今期は、当初提出した研究計画・方法に従い、ドイツ・アメリカの違憲判決の方法に関する実務・学説の検討および我が国の違憲審査制の全体像に関する検討を進めた。 具体的には、第1に、ドイツにおける違憲判決の方法について、違憲宣言判決、部分違憲判決、「なお合憲」判決および合憲解釈の手法について、憲法裁判所制度との関係で、憲法訴訟法に関するコメンタールなどを参考に、調査研究を深めた。第2に、アメリカの適用違憲の手法について、適用審査・文面審査といった審査手法との関係を中心に、資料収集・調査研究を進めた。第3に、(3)わが国の違憲審査制論全般について、制度の基本的理解、憲法訴訟の要件・対象、憲法判断の方法、違憲判断の方法などの論点を再検討した。その際、とりわけアメリカ・ドイツにおける違憲審査制の議論が、わが国の憲法学にどのように受容されたのか、そこに問題はなかったのかといった、方法論的な関心にも相当の意を用いたところである。 (1)~(3)の研究の柱について、今後、22年度の研究と合わせてまとまった形での成果公表を行う予定であるが、21年度中に脱稿し近々公表が予定されているものとして、「憲法判断の方法」((2)(3)に関する)および「統治行為論について」((3)に関する)があることを付言しておく。
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