研究概要 |
(1) 衆議院事務局資料の詳細調査 衆議院事務局議事部議事課の所蔵資料につき、帝国議会期の資料を中心に、目録データベース作成の基礎となるデータの入力を終えた。これにより、今後の公開対象となる資料の全体像が判明するとともに、その学術的意義についても一定の評価付与を終了した。 (2) 重要資料を用いた議会法関係の実証的研究の開始 これについては、資料の整理・内容把握が終わったものを活用しつつ,議会先例・議院規則・国会法・議院法関係の実証的研究を開始した。先例については、その改訂理由を示す各種資料が残されており、また、議院規則・国会法等についても、その起草段階の資料が残されている。2009年度は、これらの資料を活用しつつ、制定過程の概要を把握し、今後の調査研究の方針を確立するとともに、事務局の議事法研究の成果である『逐条国会法〔全8巻〕』を復刻出版し、その解題も執筆した(「研究発表」を参照)。 (3) オーラル・ヒストリーの実施 衆議院事務局所蔵の膨大な資料群の中には、議事部在任中に行った調査結果を個人的にまとめた形のものや、今日では作成経緯が必ずしも明らかでない資料も少なからず存在し、それらの整理・分析を進めるためには。資料作成当時の状況を事務局関係者から聴取する必要がある。同時に,本研究の主要課題である、議事法・議会先例の形成・運用過程における議会事務局の役割を解明するという観点からも、事務局関係者への取材は欠かせない。そのため、議事部経験者を中心に、元事務総長の谷福丸氏、元調査局長の近藤誠治氏、元委員部長の平野貞夫氏、元議事部副部長の今野或男らを対象とするオーラル・ヒストリーを実施し(各人5回~16回)、まもなく公刊することができる見込みである。
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