研究概要 |
初年度である本年度は、従来の諸外国での議論を確認するため、不足しているフランス文献を補充しつつ、ドイツ文献を出来る限り網羅的に収集・精読するとともに、研究会に出席して情報を収集し、また外国人研究者の知己を得ることに努めた。 具体的には、公法・私法の協働に関する国内法における議論を確認するため、予定踊り北海道大学(グローバルCOEプログラム「多元分散型統御を目指す新世代法政策学」)主催のグローバルCOE研究会に積極的に参加した(7月2,4日、9月25日、1月22日)。とりわけ、7月4日開催の国際ワークショップ「効率性と法」に参加し、フランスの優秀な若手抵触法研究者(Remy, Bollee教授)の知己を得たこと、及び、その後に執筆したコメント「効率性と抵触法」を通じて、仲裁と国家法秩序との関係についての考察の必要性を知るととが出来たことは本研究にとって極めて有益であった。2年度以降、国際的な公私協働に関し両教授との意見交換の機会を設けると共に、仲裁と国家法秩序との関係についても研究を進めることとした。また、国家法以外の私的な規範に抵触法がどこまで対応出来るかを模索するため、抵触法の対象となる「法」についての検討を開始し、国際私法フォーラムで報告した上で(2009年6月20日、学習院大学)、筑波ロー・ジャーナルに論稿を公表した。同報告で中心的に取り扱ったMichaels教授の来日中に運良く面識を得ることも出来たので、2年度目以降、意見交換を行っていく予定である。 さらに、筆者が既に一定程度研究を進めて来た公私協働に関わる具体的分野について、研究会で報告し、論文を執筆した。すなわち、知的財産権については、2度の国際シンポジウムやワークショップで報告・論文を執筆し、また、独占禁止法については、渉外判例研究会で報告した後(2009年9月20日、学習院大学)、原稿を公表した。
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