研究課題
研究3年目に当たる本年度は、研究成果の取りまとめに向けて内外で積極的に成果を公表し、レヴューの機会を得た。その際には、これまでも重点的に検討を進めてきた知的財産紛争や主権免除だけではなく、公私協働の観点から論じられるべき新たな問題を積極的に取扱うことを心掛けた。そのような問題として、インターネット等の技術革新、法整備支援、投資協定仲裁、子の国際的な奪い合いに関する関係当局間の国際的協力が挙げられる。先ず、知的財産分野については、2本の論稿を公表した他、韓国国立釜山大学において講演を行い、国際知的財産紛争に関する国家政策と私的利益の関係について議論した。また、主権免除については、近時下された最高裁判決を題材に労働契約という自国の社会政策と外国国家の尊重との緊張関係について論じた。さらに、インターネット等の技術革新については、知的財産紛争の関係で論稿を公表した他、とりわけ前年度から参加しているPrivate Law Theory(PLT)のワークショップにおいて、"Technological Evolution and the Method of Conflict of Laws"というテーマで報告し、技術革新が抵触法の方法論に与える影響についてドイツ人研究者と議論した。法整備支援については、国際法学会において「『法の支配』の確立と法整備支援」というテーマで報告を行い、抵触法からの理論的貢献を試みた。投資家と国家との間の紛争が問題となる投資協定仲裁については、現在問題となっているプレーン・パッケージ規制との関係を中心に台湾成功大学において報告を行い、国際規範間の抵触を論じた。そして、子の国際的な奪い合いについては、近時我が国の批准が問題となっている子の奪取の民事面に関するハーグ条約について、パリ第13大学と名古屋大学との共催で開催されたパリでの国際シンポジウムにおいて報告し、我が国の反対論を分析・検討した。これらの成果については、逐次公表する予定である。最後に、本研究課題である抵触法における公法・私法の融合への対応につき現在までの私見をまとめ、注釈国際私法において担当した「国際私法の範囲」において執筆・公表した。
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私法判例リマークス
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